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人生が変わる瞬間を作るために

空間演出デザイン学科(木村 光)

「未来はとても不確かなもの」という体験
私は宮城県仙台市出身です。今から3年半ほど前、私はどこにでもいる普通の高校1年生でした。勉強にはあまり熱心ではありませんでしたが、部活動の弓道に熱中し、たくさん食べ、倒れるように眠る、そんな変わらない毎日を送っていました。
しかし3月11日。東日本大震災。そんな楽しい毎日は一変しました。いつものように部活動をしていた私は、降ってくる時計やトロフィーが現実のものではないようで、ただぼんやり見ていたことを思い出します。
私の家は倒壊や津波の大きな被害もありませんでしたが、余震や原子力発電所の事故による放射能汚染など、見えないものに対してずっとおびえていました。そして、今まで当然だった希望にあふれた未来がとても不確かなものであると知り、未来に向かって何かをがんばることは、すべて無駄なことだと思われました。

復興支援の舞台が変えた、私の人生
余震もだいぶ収まったその年の夏、祖父母の住む気仙沼を訪れたとき、復興支援で公演された劇団四季の「ユタと不思議な仲間たち」という舞台を見ました。その公演はステージもないような中学校の体育館で行われていましたが、夢中になって見ているうちに、震災後もなかなか流れなかった涙があふれてきました。
そのときが、私の人生が変わった瞬間です。
この舞台のように将来自分も、「自分の力で誰かの人生を明るく変える」、そんな瞬間をつくりたいと思うようになりました。
そのときは、自分がなぜそんなに感動したのかわからずにいました。念願かなってムサビに入学したある日、「デザインとは、誰かのために、誰かのことを思って花を買うことと同じだ」ということばを耳にしました。その瞬間、私の中ですべてがつながりました。私が見た舞台は、デザインと同じように、たくさんの人が見ず知らずの誰かのために、誰かを想って上演してくれたからこそ心に響いたんだ、と。

世界の人々を想いやる場として
私が在籍する「空間演出デザイン学科」は、夢をつくる学科です。
東京でオリンピックを開催するということは、身近な人だけではなく、日本中の、さらには外国の人たちとも夢の時間や空間をともにするということです。それは舞台空間と同じです。
全世界の人が注目する2020年の東京オリンピック。そこは、オリンピックにかかわるすべての人が、世界中の人たちのことを想いやる「場」。そんな「場」として機能すること、そしてそれによって世界中の人の心を明るくし、未来をポジティブに語るきっかけとなること。それが私の願いです。
2020年。6年後の、その瞬間をつくるために、今できることから一歩一歩つなげていきたいと思います。