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Beautiful

伊賀 千恵[デザイナー・プランナー]

ひとりひとりの意識をクリエイティブで高めたい
本属としては、2020年東京オリンピック公式代理店の営業部で働いています。社内ではすでに、メディアを中心としたスポンサー獲得活動が盛んですが、本日はあえて会社のことではなく、私がひとりの日本人として何ができるかを考えてきました。

日本人ひとりひとりの意識を、クリエイティブの力で高めたい。
日本人は良くも悪くもミーハーで、よくわからなくても肩書きやお墨つきに飛びつく傾向があるようです。2020年へというよりも、むしろ私は2020年以降をも視野に入れた長いスパンで、もっと本質的な良さを理解した、本来の意味でのジャパンクリエイティブを育てられるような種を蒔きたいと思っています。
これからのクリエイティブは、最終的な見栄えやアウトプットの完成度だけではなく、仕組みづくりやPRといった、社会に対して影響力のあるアプローチが大切だと考えます。そのための背景づくりや、社会的なコミュニケーションを構築する総合的なプロデュース力が、今後非常に重要になってくると思います。

伝統行事には日本のクリエイティブの原点がある
でも、具体的にはどのように実行すればいいのでしょうか。
7年前、私は卒業制作で「和暦の室礼【しつらい】一式」という作品を提案しました。日本の行事をひとつひとつ箱にまとめて、組み立てて楽しみながらその意味を理解し、日本文化の本質を知ってもらおうというプロダクトです。当初からデパートで販売することを想定していましたが、ようやく今、その商品化のプロジェクトが具体的に進もうとしています。
鏡餅はなぜ丸いのか、お月見ではなぜススキを飾り、お団子を食べるのか、そこにはひとつひとつ意味があるんですね。私も制作を通して初めて知ったのですが、とても面白くて、私たち日本人が知らないのはもったいない。そこには日本のクリエイティブの美しさや深さがあり、それは今後も引き継いでいきたいし、日本人にはもちろん、世界中に知ってほしいことだと思いました。

日本のクリエイティブを広く深く伝えたい
商品化に際しては松・竹・梅の3つの展開を考えています。
「松」は日本の高度な職人技による工芸品として制作し、ホテルのディスプレイとして展示するような「B(Bussiness) to B」、「竹」はそれを簡易化して量産し、一般の消費者に提供する「B to C(Consumer)」、「梅」はその書籍としての展開です。
これを効果的に社会に広めるために、ロンドンのデザイナーズウィークでの公開をはじめ、パリの「日本文化会館」での展示やワークショップ、また国内では、池袋にオープンする予定の大型商業施設でのイベントを考えています。あるいは日本各地の工芸とコラボレーションしながらウェブ上で公開し、各地の工芸を支援しつつ世界に発信する、といった計画も立てています。
2020年のオリンピックをきっかけとして、日本のクリエイティブを世界に広く深く伝えられれば、2020年以降もずっと世界から注目されるような国であり続けられるのではないでしょうか。このプロジェクトは、その一粒の種だと考えています。



北海道生まれ。
2007 年 武蔵野美術大学基礎デザイン学科卒業。
化粧品会社にてプランナーとして従事後、(株)電通 営業局に入社。TVCM などのクリエイティブ制作、メディアプランニング、プロモーションやキャンペーン企画実施などのクライアントワークに従事。
またプライベートでも様々なデザイン、イベント、プロジェクト活動を行う。