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磨け!妄想力

芸術文化学科 (堤 瑛里子)

美大生なのに総合職で就職!?
私は、最近まで就活生でした。美大生なのに総合職で就職活動し、総合職で大手広告代理店に採用されました。美大生は専門職への応募が一般的ですから、面接でも「めずらしいね」とよくいわれました。その固定観念は、企業の側にも学生の側にもあるようです。そもそも総合職では、美大生が一流大学の学生にかなうわけがないと、友人からも、大学の就職課からもいわれました。
前例がなさすぎて、よくわからないんですね。みんな最初からあきらめているし、もちろん私も不安でいっぱいでした。でも結果的に大手2社から内定をいただき、美大生だって総合職で就職できるし、実はそんな人材が今、社会に求められているということも、就活をとおしてわかってきたのです。

マネージメントで日本のクリエイティブを応援
というのも、これからの社会は、マネージメントする側にもつくり手の気持ちがわかる人が、絶対に必要だからなのです。
美大生なら誰しも、ほかの友だちからイベントのポスターやチケットをつくってくれないか、などと相談されたことがあるはずです。美大生ならそれが簡単にできると思われていて、つくり手とそれ以外の人の差が非常に大きいことを感じます。
今の社会には、その間に立つ翻訳者のような役割が求められていると思います。それは、未来のつくり手がたくさんいる美大という環境で学んだ者だからこそ、よりうまくできることでもあるんですね。つくり手側で育った美大生だからこそできるマネージメント。つくり手の気持ちのわかるマネージメントが増えれば、日本のクリエイティブはもっと発展するに違いありません。

夢は妄想することでかなえられる
とはいえ私の就活は、未開のジャングルをひとり鉈で切り開いていくような辛いものでした。そのときの原動力が、ずばり「妄想力」だったのです。
「夢見ること=妄想」はエンジンになる。
なお私の今後の予定としては、2018年に広告の新人賞を受賞し、2020年にはムサビで凱旋講演。2025年にはTV出演……などなど、となっています(笑)。
最近の若者や社会は、夢を見ても無駄なんじゃないかと思う人が増えているようですが、根拠のない夢や自信は妄想からしか生まれないし、たとえ実現しなくても誰にも迷惑をかけません。しかも、もしそれが現実になったら、より最高じゃないですか。
今回、美大生なのに総合職で大手の広告代理店に就職するという前例のないことが実現したことで、「妄想」でも現実にできることがわかりました。妄想することで、夢はかなえられると思います。若い私たちだからこそ、もっともっと夢を見ていいんじゃないかと思います。