オリンピックと不思議な縁
自分にとってのオリンピック。2つの不思議なご縁の話をしたいと思います。
1つは、前回のシンボルマークをつくった亀倉雄策さんの話です。とても個人的な話ですが、自分の両親を引き合わせて仲人をしていただいたのは亀倉家なのです。それがなければ、自分はここでこうやって話をしていませんでした。
もう1つのご縁は、写真にあるティーカップの話です。ここには東京オリンピックのシンボルマークが描かれています。当時の選手村で使われていた本物のティーカップです。調理場の研修生だった方が会期の後、大事に持ち帰りました。その方は、その後ホテルオークラの支配人になりました。僕が今、仕事で関わっている鳴海製陶に、昨年寄贈された大切なものとなっています。最近、このような不思議なご縁が見えてきました。
オリンピックは素晴らしい祭典です。いろいろな記憶や思い出が残ります。同時に忘れてはいけないのが、モノも残るということです。
新しいステージへ向け創造的計画を
これから2020年に向けて、何ができるかという話をします。オリンピックはたった2週間の祭典です。そのためだけに何かをデザインするのではなく、その後の社会に向けてデザインをするべきだと思います。
日本はこれからメガトレンド的に見ても、いろんな問題を抱えています。それをいかにクリアするか。次の世代に向けて発信できるか。そのときが、日本の新しいステージです。その入口が、まさに2020年であるというだけです。
新しいデザインをつくるということは、包括的で長期的な視野に立ち、創造的計画をしっかり努めることだと思います。
今まであったご縁とご恩を、まさに使命として感じているところです。皆さんも、ぜひ前に向かったデザインを応援してください。