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福島 治

福島 治[グラフィックデザイナー]

「オリンピック・パラリンピック」に変わった意味
私は現在、ソーシャルデザインをライフワークとしています。毎週のように、東日本大震災の被災地を訪れています。また、ハンディキャップ・アーティストを支援する活動も行っています。

近代のオリンピックで最も革新的なことはなんだったのでしょうか。それは、大会が「オリンピック」から、「オリンピック・パラリンピック」になったことです。特殊な能力を持った人の大会から、世界中の誰もが、スポーツを通じて生きる喜びを手にすることができる大会になったことを表しています。つまり、分かち合うことの大切さをオリンピックが宣言したと解釈します。

東日本大震災への援助の御礼をパラリンピックで
オリンピックは、ある程度、完成された大会になっています。世界中の注目を集めますし、お金も集まります。それに比べてパラリンピックはどうでしょう。代表に選ばれた選手でも、強化費用どころか、参加費用を集めるのにも苦労されています。
日本は世界に対して、東日本大震災への援助に対して、御礼をしなければいけません。それをパラリンピックを通して行いませんか?これまでにない規模で、パラリンピックの選手をおもてなししましょう。
不思議な形の競技場をつくる1000分の1の予算でいいので、私にください。パラリンピックの全選手は約6000人です。大会後に全選手を無料で日本の観光に招待しませんか。京都も良いかもしれません。復興しつつある被災地を見ていただくのも良いでしょう。これら世界最大のおもてなしは、世界中のメディアが、こぞって取り上げてくれるはずです。

スポーツの大会から知性をプレゼンテーションする大会へ
ほかにも、パラリンピックの選手が快適に移動できるようにしましょう。現在の東京では、ひとりで乗り物を乗り継ぎながら選手が移動することには、大きなストレスがかかります。すべての交通機関にエレベーターなどを取り付け、東京をバリアフリーの都市にしましょう。この大会が終わった後、それらは超高齢化が進む東京都民の財産にもなるはずです。パラリンピックの全選手が、自国で周りの方々に「日本は素晴らしい国だった」と言ってもらえるおもてなしを、これから一緒に考えましょう。

私は、オリンピックをスポーツの大会から、その国の知性をプレゼンテーションする大会へとデザインしなおしたいと思います。笑顔を分かち合う大会をデザインしたいと思います。それを2020年の東京が行うのです。
世界中から拍手の起こる大会をデザインしましょう。私は一人でもプロジェクトを立ち上げ、少しでも喜んでいただける大会をデザインしたいと考えています。